ボクの経験値
彼の不思議

1.

彼と出逢ったのは小学校5年生の時。
正確には、彼の存在を知った時、かな。
ボクは、友達に「隣のクラスに転校生が来たんだ!」と興奮しながら手を取られて、彼を見に行った。
彼はとても小学生には見えない、というのが第一印象だ。
それは別に背が大きいとか、顔がどうのこうのじゃなくて、彼の雰囲気がそう感じさせていたんだと思う。今だから言うけれど、初めて見たときは、「可愛いな」っていうのが本音だった。
黒い髪に、黒い大きな瞳、白い肌に少し赤みがかった頬が可愛らしかった。
男の子に「可愛い」という印象を持つなんて、自分でも信じられない。
でも、本当にそう思った。
別に自分がそういう気がある人とか、そういうんじゃく、多分みんな思ったと思う。
「可愛いな」って。
でも本当は、そんな簡単に言えるほど、彼の内面は深い溝のように、暗い宇宙のように、時には眩し過ぎるくらいの太陽光のように周りに影響を与える、まぁ、とんでもない存在だったんだ。

今だから言える。
彼はそう簡単には形成されない何かでできている。
小学生の時のボクには理解できないような世界で生きてきたから、ボクとは違う形成をしているんだと思う。
姿形だけでなく、内面まで、内臓まで、心臓まで、骨まで、その髄までもが。
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