ボクの経験値

4.

「大丈夫?」
そう言った彼のその意味は、その時点では分かるはずもなく、ボクは戸惑いながらも頷いてみせた。
そしたら、彼はニコリと笑って、ボクの手を引いて歩き出した。

そしたら、世界は変わった。

色々な声が聴こえてくる。

何かザワザワした声。
かすれた声。
ふわふわした声。

色々な声が、ボクの耳をくすぐる。

「え?…え?」

そう言うボクを見てクスクス笑いながら、彼は歩いた。

「どういうこと?」

ボクがそう聴いたとき、彼はこう言った。

「妖精の声、色々な妖精の声だよ」

ボクは信じられなかった。
妖精なんて、おとぎ話の中の話だと思っていたからだ。
というか、そうだろう?

「本当に?」

ボクが疑いを見せると余計に彼はクスクス笑って、

「本当だよ、現に聴こえてるでしょ?」

と言った。 
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