成立事項!
「瞳ちゃんってね、生徒会長の──」
「あ、あのっ‥今日は、遅くなるって、言ってた、よ‥っ!」
少女の言葉を瞳は慌てて遮った。
いつものどもりにあまりにたどたどしい言葉。
その不自然さに、栖栗はまた首を傾げた。
何故、英のことを瞳に聞く必要があるのかも、何故、彼女が慌てる必要があるのかも、全てが分からなかった。
頭の中は、髪と同じくらいにぐちゃぐちゃだ。
「「「そ、そうなんだ‥」」」
数人の女子らは、がっくりと肩を落とすと、ぶつぶつと何かを呟きながら自分たちの席に着いた。
栖栗はちらりと瞳を盗み見る。
「‥生徒会長って、モテるのねぇ‥」
本当のことを言うと、聞きたいところはそれではなかったが、とりあえず呟いてみる。
何故、英と瞳の関係にここまで興味を抱いてしまっているのか、栖栗には分からないが、好奇心だけはきっと異常に持っているのだろう、と自己完結しておく。
瞳はその呟きにつられるようにして栖栗に視線を送り、そして目を閉じる。