成立事項!
 
栖栗はスクールバックを持ち直すと、玄関を出ようと歩み出す──‥


「あ、あのっ‥生徒会長‥っ!」


が、聞こえてきた可愛らしく、高い女の子の声に栖栗は慌てて、下駄箱に隠れた。

何故隠れなくちゃならないんだ、と頭の中でツッコミを入れながら。


──けれど、気になるではないか。


ひょっこりと顔を出し、声がした出入り口を見る。

そこには傘をさし、帰ろうとする英と髪を一つに束ねた少女がいて。

栖栗は二人を視界に捕らえると、とっさに胸を押さえた。


ドクン、ドクン、


「‥‥っ」


胸が、高鳴る。



苦しいのは、何故?


気になるのに、ここにいたくない。
走り出したい。

今なら、雨に濡れて帰っても、いい気がした。


「あぁ、君はたしか‥」


英にとってその少女は、見覚えがある顔だった。

言葉を交わしたことは、ない。

多分、面識だけだ。


「っ二年一組の、山田あさひ、っていいます‥!」


あさひは、生き生きとした声で、しかもわざわざフルネームで自身の名前を告げると、勢いよく頭を下げた。


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