極東4th
 初対面で、早紀に出ていけと言い放った相手が、この真理だ。

 子供心に、自分が歓迎されていないことを、その瞬間に理解した。

 だが、その当時の早紀は、本当に小さくて。

 そして、唯一の肉親であった母を失って、行くあてなどありはしなかった。

 だから小さい間は、出来る限り真理を避け続けた。

 また、あの強い力で引っ張られ、ぶたれたり放り出されたりするんじゃないかと、怖かったのだ。

 だが、成長していくにつれ、恐怖は憧憬へと変わってゆく。

 真理は、とても綺麗な子だった。

 冷たい顔立ちは、年を重ねるごとになお冴え渡り、氷の世界の王子様がいたら、きっとこんな顔よねと、早紀の目を奪ったのだ。

 しかし、十年以上同じ屋敷で暮らしてきたが、真理と親しくなるきっかけなど見つからずじまいだった。

 それどころか、一昨年からこの屋敷に住まうようになった修平との方が、よほど話をしている。

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