極東4th
さすがに、高校卒業したら、出ていかなくちゃなあ。
シーンと静まり返る車内は、いつものこと。
登下校の、送迎の間の風物詩だ。
図太さを身につけた早紀は、隣の氷の王子がしゃべらない限り、ぼんやりと考え事が出来る。
そして、しゃべることなど、めったになかった。
今朝きた、あの一撃も久しぶりのことで。
彼も、長い間早紀を目障りに思い続けているようだ。
この屋敷での生活と、風変わりな学校で、随分早紀も世間知らずになっているだろう。
とは言え、ねっこは庶民なはずなので、仕事さえ見つければ、暮らしていけるんじゃないかと考えていた。
あと一年ちょいかあ。
意外と残り時間が短い事実に、早紀は驚いた。
たったそれだけの期間で、就職を探し、学校を卒業して、あの屋敷を出るのだ。
結構、忙しそう。
ちょっとビビって、早紀はへらっと笑ってしまった。
それを自覚して、はっと顔を引き締める。
真理に、見られたかと思ったのだ。
幸い、隣の彼は窓の外を見ていた。
セーフ。
自分の頬に手をあてて、早紀は顔を引き締める。
あと一年ちょっと。
真理に、実力で叩き出されないようにしないといけないのだ。
「おい…」
なのに。
そんな、早紀の考えを吹っ飛ばすような、本日二回目の王子の言葉。
ひっ。
なまじ、車内は近いせいもあって、声にこもった低い響きが、ダイレクトに伝わってくる。
こんな距離で、はっきりと出ていけと言われたら、断りづらいではないか。
完全にビビりまくりながら、早紀はそれでも王子の次の言葉を待たなければならなかった。
逃げ場は、ない。
「おまえ、今夜はうちに帰ってくるな」
突き付けられたのは── 一方的で強引な一言だった。
シーンと静まり返る車内は、いつものこと。
登下校の、送迎の間の風物詩だ。
図太さを身につけた早紀は、隣の氷の王子がしゃべらない限り、ぼんやりと考え事が出来る。
そして、しゃべることなど、めったになかった。
今朝きた、あの一撃も久しぶりのことで。
彼も、長い間早紀を目障りに思い続けているようだ。
この屋敷での生活と、風変わりな学校で、随分早紀も世間知らずになっているだろう。
とは言え、ねっこは庶民なはずなので、仕事さえ見つければ、暮らしていけるんじゃないかと考えていた。
あと一年ちょいかあ。
意外と残り時間が短い事実に、早紀は驚いた。
たったそれだけの期間で、就職を探し、学校を卒業して、あの屋敷を出るのだ。
結構、忙しそう。
ちょっとビビって、早紀はへらっと笑ってしまった。
それを自覚して、はっと顔を引き締める。
真理に、見られたかと思ったのだ。
幸い、隣の彼は窓の外を見ていた。
セーフ。
自分の頬に手をあてて、早紀は顔を引き締める。
あと一年ちょっと。
真理に、実力で叩き出されないようにしないといけないのだ。
「おい…」
なのに。
そんな、早紀の考えを吹っ飛ばすような、本日二回目の王子の言葉。
ひっ。
なまじ、車内は近いせいもあって、声にこもった低い響きが、ダイレクトに伝わってくる。
こんな距離で、はっきりと出ていけと言われたら、断りづらいではないか。
完全にビビりまくりながら、早紀はそれでも王子の次の言葉を待たなければならなかった。
逃げ場は、ない。
「おまえ、今夜はうちに帰ってくるな」
突き付けられたのは── 一方的で強引な一言だった。