H.T.
「ったく、うっせーな。あれに、悪影響がでたらどうすんだよ?」

アークが視線を送った先を見た。そこには、さっき目に付いたヒトガタ。

「なんだよ、あれ?」

ヒトガタは、大きなカプセルの中に入っていて、中は濁った液体のようなもので満たされている。

「何って、今研究中のキメラ」

「キメラって……」

「軍の命令だからなぁ、逆らうわけにもいかないだろ?」

苦笑いしながらアークはヒトガタから目をそらした。

「……」

「でもな、こいつは俺の最高傑作だ」

「……殺戮兵器で最高傑作と言われても困る」

「ただの兵器じゃない、生物兵器だ」

「ただの兵器よりエグいだろ!」

「兵器としては、最高だがヴィジュアルが悪い。やはり俺の作品なら才色兼備であるべきだ」

「お前人の話聞いてるのか?」

「色々考えたては見たが、オリジナルではどうも詰まらない」

キラキラ眼を輝かせて誰にというわけでもなく語りかけるアーク。
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