H.T.
「俺を殺すのか?」

気付いたら口が動いていた。
恐怖からというより、興味からという感情の方がまさっている感じだ。
それは、自分でも驚くほど落ち着いている音色から分かった。

「んー……」

沈黙。
黒いスクリーンに写るロードはアークの心臓の真上に手を突き立てている。

もっとも実際に突き立てられているわけではなく、ロードの発する殺気の形であるが……それにしては、感触が生々しい。

「ねぇ、ボクの事どう思ってる?」

ロードの音色が変わった。さっきより若干高く、ボーイッシュな感じに。

「……」

「ねぇってばー」

「か……かわいぃ」

負けましたとばかりに、自然に言葉が口から零れた。いつもカワイィカワイィとからかっては、いるがそれとは次元が違った。

ちなみに、いつものカワイィはがきっぽいという意味だ。

認めざるを得ない。そんな感情に頭を支配された、
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