H.T.
その言葉の直後、アークの隣りに赤い光が発生した。

光はロードとキメラを一瞬にして引きずり込み消え去った。

数秒後扉が開いた。さっきロードと追いかけっこをしていた男達が次々に入って来た。
その中の1人が口を開いた。

「終わりましたか?」

「あぁ何とかな」

アークは穏やかな口調で答えた。

「それじゃぼちぼち準備を始めますか」

「そうだな、これから面白くなるぞ……こんな事に付き合わせてすまない。あいつにも悪いことしたな」

アークは苦笑いしながらこぼした。

「大丈夫ですよ、あいつはロードに命かけてますから」

その瞬間わき起こる笑い声。

それを書き消すように多数の足音。開かれた扉。なだれ込んでくる国家直属の部隊。


「ハハハ……はぁ……、もうちょい余韻を楽しませろよ」

アークの目から生気が消える。
鼓膜を引き裂くような超高音。


どうやら、このハートは危機的状況を好むらしい。
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