H.T.
ロードは気休めで視線を室内に巡らせた。今話している相手でこの部屋の主、アークの背後にあるヒトガタで視線が止まる。


「さぁ、雑魚どもは帰った帰った。キャンディは俺の玩具だ。お前らの着せ替え人形じゃないぞ」


“俺の玩具”の部分に鳥肌が立ちそうになった。

渋々男たちが立ち去ろうと振り返った。


「ちょっと、お前」

アークが男の中の1人を呼び止めた。

「なんです?」

「その手に持ってるのよこせ」


その言葉に男とロードの表情が凍り付く。


「いや、これは勘弁してくださいよ」

後退りながら、手に持ってるものを背後に回した。


「良いじゃないか、そうケチケチするなよ」


「ケチケチって、これは俺の自費でロード専用にオーダーメイドした特注品ですよ?」

アークが男に近寄り耳元でなにか囁いた。

「……身に…………とこ……ろ?」

アークたちの距離が離れているせいで、ロードにはほとんど聞き取れなかったが、何を言っているのか大体察しがつく。
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