H.T.
「……でもなぁ」

男の態度にアークの口元が吊り上がったのをロードは見逃さなかった。

「仕方ないなぁ、特別にあれの模造品をやるよ」

さっきロードの目に止まったヒトガタに視線を送りながら、男に何か手渡した。


「これは?」

再びアークが男に囁く。


聞き終わらないうちに男の目の色が変わった。

その後のやり取りには興味がないのでロードはアークたちの話から注意をそらした。

男が手にしていたものが、アークの手に渡った事実は変わらないのだから。
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