つきのくに
篝祭り。
皐月神社で行われる伝統的なお祭りで、秋に行われる。
月神様を祭るお祭りで、その年の収穫を月神様に感謝するために始まったらしい。
私の家であるわけだから、毎年篝祭りの時期は大変。
感謝の舞なんていうのもあって、代々、藤神の当主か時期当主がその役を遣わされる。おばあちゃんは篝祭りの前は、お祭りの準備も舞の練習もとすごく大変そう。




「すうちゃんは今年は何の係りなの?舞の役になった?」
「なってないよ。今年もおばあちゃん。」
「何でなかなかすうちゃんに役が来ないのかな。次期当主はすうちゃんなのに。」
「私が皐月神社を継ぐって決まったわけじゃないのよ。月宮の大旦那様とおばあちゃんが決めることなのよ。」
「あたし早くすうちゃんが鈴姫の舞を踊るところを見たいのに。」
「どんくさい私じゃうまく踊れないよ。私は例年道理、お祭りの雑用。」





「そんなことないよ。あたしすうちゃんは誰よりも上手に鈴姫の舞を躍ると思う。」




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