つきのくに
隼人以外に目を向ける。
なんて、たった14年しか生きてないけれど、私の人生の中で、隼人と海ちゃん以外に心に住み着いた人なんていない。
海ちゃん。
もし、私が隼人に好きだと言ったら怒るだろうか。
あの頃は何をするのも三人で行動していたのに。
まるで、からだの一部みたいに一緒にいた。
『馬鹿錫。』
『何よ。馬鹿隼人。』
『誰が馬鹿だブス。』
『ブスとか言うなタコ。馬鹿っていうほうが馬鹿なのよ。
ねえ、海ちゃん。』
『どっちも馬鹿馬鹿言ってるから代わりはないんじゃないの?』
三人でいるのが自然で、一緒にいなかったらどうやって過ごせばいいのか分からないくらいだった。
だから、今こんなに息苦しいのかもしれない。
からだの一部を失って、悲鳴を上げているのかの知れない。
「錫子!!ボールそっちに行ったよ。」