つきのくに
「お帰りなさい。錫子さん。」

「ただいまっ!!椿さんっ」

「あらあら、どうしてそんなに息が切れているんですか。」
クスクスと椿さんは笑う。

「隼人が早くしないと置いていくって言うから走ってきたの。
ランドセル置いたらすぐ遊びにいくね。」


「はいはい解りましたよ。
今日はどこいくんですか?」

「まだ決まってないの!でも五時までにはちゃんと帰ってくるから。」

「はいはい。じゃあ、紫さんが帰ってこられたら伝えておきますね。」

「おばあちゃんは?」
「奥様なら月宮様の所に行きましたよ。
篝祭りの打ち合わせがあるんだそうで。」

「そっか。
私ランドセル置いてくるね。」


階段を駆け上がり自分の部屋のドアを行きよいよく開けた。
引き戸なのでスパンと言う小気味よい音が鳴る。


真新しい勉強机の上にランドセルを起き、勉強机の横に掛けてあるピンクの花の
刺繍がしてある麦わら帽子を取る。

つい最近買って貰ったばかりで一番のお気に入り

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