つきのくに
正式名称「月の森」
月の森って言うのは、「奥」の更に奥にある森のことだ。
この森にも、なにやら由来があるらしいが、詳しいことは覚えていない。
でも、月ノ宮に住んでいて、月の森の名を知らない人はいないだろう。


月の森につきのくにがあるといわれているのだ。

「行きたい!!」
「錫が賛成するなら、決定だね。」

海ちゃんがそういうと我が強い隼人は案の定、眉毛を最大限吊り上げて怒り出す。
せっかくさっき怒らせないように気を利かせたのに。
海ちゃんったら。
「馬鹿、勝手に決めんなよ。」

「じゃあ、隼人はどこか他にいい場所あるの?」

「ないけど。」

「じゃあいいじゃん。」

「勝手に決められるのがいやなんだよ。」


隼人はわがままだなあ。

ごねる隼人とそれを宥める海ちゃんを見ながら、あることを思いつく。


「ねえ、ちょっとお家にとりに行きたいものがあるからちょっと待ってて。」

「はあ、面どくせえ。
やっとどこ行くか決まったところなのに」

隼人。さっきまで渋ってたくせに。
「いいよ行って来て。」」

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