つきのくに



「まあ、いいじゃん。
今日は、つきのくに探しをしようよ。」

「海ちゃんありがとう!!」


つきのくにを探す。
この冒険じみた響きに私の心は躍る。



童話の主人公みたいだ。

魔法のランプをこすると魔人が中から出てきて、願い事を叶えてくれたり、空飛ぶ箒に乗って、どこか遠い街へ行ったり。
大昔にどこかの海賊が隠した宝物を見つけに行くみたいに。

ただの言い伝えでしかない「つきのくに」を探しに行くなんて自分がロビンソークルソーになったみたい。


この響きに惹かれたのは私だけじゃないみたいで、さっきまで文句をつけてた隼人も
「まあ、いいかな。」
なんて言ってる。


シャンシャンとただれた空気を裂くような鈴の音を響かせながら、私たちは森へ入っていった。
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