つきのくに




「じゃんけんぽんっ」

グー、チョキ、グー。
隼人、私、海ちゃん

「やりい。」

隼人が喜んでる。
いちいち癪に障るやつだ。

「じゃあ、鬼は錫ね。
僕らは隠れるから百数えたら、探しに来ていいよ。」

「どこまでにする?
制限を決めておかないと森は広いから迷子になりそう。」

「じゃあ、鬼の声が聞こえるところまでな。
それ以上はだめだ。」

軽くルールを決めると隼人はさっと行ってしまった。
まだはじめと入っていないのに。

「じゃあ、錫。百数えたら探しに来てね。」

「うん。」

海ちゃんも走っていった。

私は、木に手でクッションを作り顔を押し当て百数え始める。

「いーち、にーい、さーん、しーい・・・・」

なんだか、ほとんど音がないせいか、声が森に吸収されていく。
誰もいないみたいに静かなのに数を数えている自分がなんだか滑稽に思えてきた。

誰に笑われてるはずもないのに。


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