つきのくに
そう思うと涙が出てきた。

「隼人、海ちゃん・・・・なんで見つからないの・・・・」

「俺に聞くな。
すぐ見つかるから、泣くなよ。」


シャンシャンシャンシャン。
「海―!!いるなら早く出てこい!!
もうかくれんぼは終わりだ!!」

シャンシャンシャンシャン。
薄暗い森の中で、鈴の音だけがむなしく鳴り響く。


突然、隼人が声を上げた。
「おい、あの切り株のところにいるの海じゃねえか。」

隼人が指を刺したほうへ視線を向けると、そこは、切り株があって、その向こうは十メートルくらいの崖になっているところだ。
最初に私が数を数えていたところの真後ろだった。

「海ちゃん!!」

私と隼人は急いで海ちゃんのところへ駆け寄る。


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