つきのくに
近づくと、切り株の根元で海ちゃんはすやすやと寝息を立てて寝ていた。

「海寝てるのかよ。
びっくりさせんなよな。」

「海ちゃん、海ちゃん。起きて。お家に帰ろう。」

私は、すやすやと気持ちよさそうに眠る海ちゃんの体をおおきくゆする。


何回かゆすると海ちゃんは起きた。
「・・・・錫、隼人。・・・・・・あれ、僕寝てた?」

寝ぼけ眼をごしごしこすって海ちゃんは、状況を確認するようにあたりを見渡した。


「海ちゃん!!もう、どこに行ったかと思ったんだから。」

安心したら、また涙が出てきた。

「あれ、錫泣いてるの。僕が寝ちゃってたからだね。
ごめん、ごめん。泣かないで。」

そういって、海ちゃんは、私の頭をよしよしと母親が小さい子供にするそれのようになでる。

これは、海ちゃんと私の間にある儀式みたいなもので、私が泣いていると、海ちゃんがよしよしをしてくれて、泣き止んだ私が、海ちゃんに「ありがとう」とお礼を言う。










海ちゃんにありがとうを言おうとした瞬間。

いつもここで目が覚める。


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