つきのくに
海月

その後のことはよく覚えてない。
と言うか、海ちゃんの葬儀あたりまで記憶がないのだ。
医者の話によると、強いショックを受けたため心が、自衛反応を起こし記憶を頭の引き出しにしまって鍵をかけてしまったらしい。



隼人は何も教えてくれないし、隼人と私と海ちゃんしかいなかったわけだから、隼人が口を閉ざすとなると記憶を取り戻すすべがない。


だから、何で海ちゃんが死んだのか、私たちはその後どうしたのか、

私は、海ちゃんにありがとうを言えたのかさえ覚えていない。

ただ、時々海ちゃんは私の夢に出てきてくれる。今みたいに、海ちゃんが亡くなった日のことだったり、全然関係ないときのことだったりする。






でも、ひとつだけ分かることがある。











海ちゃんは私のせいで死んだんだ。












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