つきのくに
「・・・・・え?なんで隼人がここにいるの?
ていうか何で私ここで寝てたの?」
隼人が私に話しかけてる。
こんなの久しぶりだ。
隼人からなんて、今はめったにないことだ。
ああ。今の自分の姿を鏡で見たい。
寝癖とかついてないかな。
よだれとか垂れてないよね。
「覚えてないのかよ。」
はあ、とこれ見よがしにため息をつかれる。
何だ。いつもの隼人だ。
「・・・・・うん。ごめんなさい。」
「お前体育のときに、サッカーボールが後頭部に直撃して気絶したんだよ。」
体育があったのは確か二時間目だったからその後ずっと寝てたのか。
恥ずかしいことだ。
「保健の先生の話では、軽い脳震盪を起こしただけだから、起きたら帰っていいってさ。」
体育の時間にぼんやりするものじゃないなとまたぼんやりと考える。
そういえば何で隼人はここにいるんだろう。
こんなに日が傾いているってことはいつもだったらとっくの昔に学校を出ているのに。
「起きて大丈夫そうなら帰るぞ。」
「へ?隼人と帰るの?」
「さっき倒れたばっかりなんだから危ないだろうが。」
もしかして、そのために待っていてくれたとか?
「立てるのかよ。」
「うん!大丈夫。」