つきのくに


空は、燃え爛れたような朱から薄い藍色が綺麗なグラデーションを作っていた。

空の端に秋刀魚雲がたくさんあって、そこに雲が溜まっているみたい。

空に端何てないはずなのに。



昨日は、隼人は少し前を歩いていた。
今は、横を歩いている。


夢みたいだ。

ちょっとでも手を動かしたら触れられそうなくらい距離が近い。


ただ隣で歩いている。何故其だけでパブロフの犬の様に私の心臓は高鳴ってしまうのだろう。


やばい。
泣きそうだ。



「お前にボールぶつけたやつ。あのキーキー煩いやつが、」

隼人が突然言う。

「高美ちゃんのこと?」
高美ちゃんとは体育の時の私たちのチームのキャプテンだった子だ。


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