つきのくに

隼人は、空を見上げながら歩く私に言った。
何で、今日はこんなに隼人が話しかけてくれるのだろう。
一生分の隼人と話せる時間を使ってしまいそう。






つきのくに。
死んだ人間と話せると言う伝説の場所。

それが、あったらどんなにいいだろう。
私は、どんなにそれを求めただろう。



「分からない。
でも、あったらいいなと思う。」


そんな、優しい世界あったらいいなと思う。

この世で成就されなかった願いも、そこでかなうかもしれないから。
現実は、痛い。

だから、私たちは常にそれを追い求め続けているのかもしれない。
果たせなかった思いを、伝えるために。




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