つきのくに
『もしもし。錫子?もう、大丈夫なの?』
「もう大丈夫だよ。ぴんぴんしてる。」
『錫子二時間目からずっと寝てるから心配してたんだよ。』
「疲れてたのもあるのかも。昨日へんな時間に眠っちゃってたし。」
『そっか。今、家?』
「うん。」
『一人で帰ったの?』
「・・・・・ううん、隼人が送ってくれた。」
『やっぱり。
っていうか、今日隼人君すごかったんだよ。』
やっぱりって何?
「何が?」
少し興奮したような声が受話器の向こうから聞こえてくる。
『錫子が倒れた後、皆錫子のところに駆けつけたんだけど、』
うわー、恥ずかしい。絶対間抜けな顔して倒れてたよ。
『女子も男子も皆駆けつけきて、斉藤君も駆けつけてきたのね。
俺が保健室に運ぶって言って錫子を持ち上げようとしたんだけど、』
「うん。それ、めちゃめちゃ恥ずかしいね。」
何で、体育の先生に任せないの。
『そしたら、隼人君が来て、俺が運ぶって言って斉藤君の手を払って、錫子を抱えて保健室に連れて行ったのよ。』
隼人が?
何で?
『もう、めちゃめちゃかっこよかったんだから。』