つきのくに
「今日、月宮様との話し合いで、正式にあなたをこの皐月神社、ひいては藤神家の正式な後継者とすることが決まりました。」
「え?お母さんは?」
「紫は、月ノ宮の外でもう職を見つけてしまいました。いまさら、この神社を継ぐ気などないでしょう。
それに、あなたは、私の長女である桜の娘。桜は出奔してしまいましたが、その血を引いているあなたが一番ふさわしいのです。」
「うん。」
「正式発表は、篝祭りの日にします。」
「はい。」
「それまでにあなたも覚悟を決めておいてください。」
「うん。」
「あなたも竹ノ本の海君のことは何を言われても揺らいではいけませんよ。
堂々としていなさい。いつまでも過去に固執するのはやめなさい。
藤神の名に恥じないように、」