つきのくに

月光




「昔の人はね、篝祭りの後は、かがり火と鈴を持って、森に入ったんだって。」

「祭りの後に?」

「うん。つきのくにに行って、死んじゃった大切な人と、一年で一番美しい秋の月を眺めたんだって。
かがり火を持って森に入るから篝祭りって言うのよ。」


「ふーん。」

「隼人はさっき私と会わなかったらどこへ行くつもりだったの?」

「どこだっていいだろ。」

「そうだね。」


今日は、頭がこんがらがることがいっぱいだ。

斉藤君にメールして欲しいって言われたり、倒れたり。



それに、隼人。
隼人の今日の私に対する態度や行動はおかしすぎる。


いっぱい隼人と話せてうれしい。
でも、怖いよ。

うれしいことの後は、絶対に悲しいことが怒るでしょう?




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