つきのくに


二人の間に流れる沈黙。

動くたびに、シャランシャランと鈴の音が鳴る。


緊張と混乱で、うまく呼吸が出来ない。

一瞬にも感じられたし、十分にも感じられる。
沈黙を破って隼人が話し始めた。


「・・・・・・俺が何か言うと、お前をよく思ってないやつらがまたギャーギャーと騒ぎ出すだろ。」

へ?

「それに、言うべき奴にはちゃんとどういう状況で海は亡くなったかはきちんと話した。
それにお前も知っていると思っていたから、外野がとやかく言うことにいちいち説明する気もなかった。」


じゃあ、もしかして、今までの冷たい態度は、私と隼人が仲良くするとある事ない事を言いふらす人がいるせいで、私のせいで海ちゃんが死んだからじゃないの?


それなら、今まで、私はいったい何を思い悩んできたの?


これじゃあ滑稽な喜劇だ。


笑いにもならない。



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