つきのくに
だめだ。うまく返事が出来ない。
下手な事を言ったらまた、嫌われてしまうって長い間思っていたから、いざ隼人と話そうとしても上手く出来ないんだ。
こんなんじゃ、本当に嫌われてしまうかもしれないのに。
やっぱり、私は上手く出来ない。
どんどん森は深くなっていく。
帰れるかな?
私が家にいないことに気がついて騒ぎになっていないといいけど。
家に、帰ったらどうなるのだろう。
怒られるかな。
ぼうっとそんなことを考えていると、隼人はおもむろに腰の裏、お知りの少し上くらいに両手を当てて、言葉を発した。
「お前さ、俺のこと嫌ってないの?」
「へ?」
「俺のせいで、影で色々言われたり、俺、お前が話しかけてもそっけない態度とったりしてただろ。」