つきのくに
一瞬、隼人が言っていることの意味が分からなかった。
何言っているんだろう。
そんな事あるわけないのに。
私が隼人を嫌うなんてあるわけないのに。
「そんなわけないじゃない。
私が隼人のことを嫌いになるなんて。」
私がそういうと、隼人は安心したように笑った。
私、今まで生きてきた人生の中で一番幸せかもしれない。
隼人が隣にいて、笑ってくれて。
それだけで何もいらないと思ってしまう。
私、薄情過ぎるね。海ちゃん。
でも、本当に幸せなんだ。
こんな些細な事を私はずっと望んできたんだもの。
これ以上望んだらきっとばちが当たってしまう。
「おい、あっちなんか光ってるぞ。」
隼人の声で一気に覚醒した。
光ってる?
こんな森の中で月明かり以外の光があるの?
うっすらだけど、木々の間から光が漏れている。
それを見たとき、一気に心臓がはねた。
心臓がぎゅっと音を立てて、縮まった気がした。
もしかして、
もしかして!!