つきのくに

私たちは、手をつなぎ、同じ景色を二人ぼうっと眺めていた。

一生忘れたりしない。
今夜のこと。


「私、一生忘れたりしないわ。
今夜ことを。」

「俺もだ。」



幸せな気持ちで満たされている。
隼人が今は本当に近く感じる。

今まで、何でそんなに思い悩んでいたんだろう。


「錫、」




「ん?」



「好きだ。」

「私もよ。」




心が通じ合うってこういうことなのかもしれない。

どちらからと言うわけでもなく、自然と私たちはキスをした。






月と海ちゃんが、私たちを祝福するようにきらきらと一層輝きだした気がする。


もう、どこにだって行ける。

何だって、出来る気がする。



隼人と一緒なら何だって。





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