つきのくに
「これから、大変だな。」

「そうだね。」

そう、私たちはこれから戦わなければならないのだ。
隼人と私が付き合うなんて許されない。

この先隼人と付き合っていくためには、一緒に生きていくためには。

御三家というしがらみ、月ノ宮という檻から。

きっと、気が狂ったように騒ぎ立てる人々や、おばあちゃん、隼人の家の人たち。
私のことを快く思わない人がもっと増えるかもしれない。

結婚なんて到底今のままじゃできっこない。
月ノ宮が変わらないことには。

結婚が最終的なゴールとは思わないけれど、やっぱり出来るものならばしたいし。
だって、愛を確認しあうってことでしょう?

でも、私たちに月ノ宮を出る気は全くない。

だって、生きていくのだもの。
この月が支配する美しい町に。
隼人と一緒に。




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