つきのくに
「人の気持ちなんて不確かなものなんだから、二人は別れちゃうかもしれないじゃない。
もし、月ノ宮の人たちを説得できてもできなくても、今から大学卒業後まで、一緒にい続けたら私も、月宮のおじ様と同じように、認めてあげるわ。」
「・・・・・・私は、認めるのは時間がもう少し必要です。
いきなり、結婚するなんていわれて、すぐに認めるなんて出来ません。」
時間。
いいよ、いっぱい時間をかけて説得しよう。
だって、今から、ずっと隼人と生きていくんだもの。
それくらいの苦労は安いもの。
反対派の人たちも、何度も何度も説得して、時間をかけよう。
何度も、何度も。
何回だっていいの。
「取り合えず、今日のところは帰ろうか。明日話はゆっくり聞こう。
今から隼人たちはどうしたいのか。どうするのか。
小百合の意見も、隼人や錫子ちゃんの意見も。」
隼人のおじいさんは、もう夜遅いから送っていこうといい、私たちは家路へつく。
「錫、これからはずっと一緒だからな。」
「そうね。ずっと一緒ね。」