【短編】クリスマス*ガーデン
「俺みたいに、10年以上かかるかも知れないけど、諦めなきゃどんなことも、手に入ると思ってるんだ」
そうやって
克巳は色んなモノを
手に入れて来たのだろう?
小さくても確かな自身が、眼差しから感じられた。
私も、諦めなければ手に入るかしら?
ドラマや小説みたいな、波乱万丈で、胸を焦がすような恋愛を。
「……そうね」
克巳は静かに立ち上がると、暖炉の上に置いていた小さい鍋を持って来て、私のカップに注いだ。
「今夜は、やけに冷え込むから、酔っても飲んだ方が体が温まるよ……」
温かい湯気と一緒に、ワインの甘い香りが立ち上る。
「ありがとう」
確かに
少し前から
底冷えするような
気がしていた。
暖炉の火は、弱まってはいないのに。
「? あ、れ?」