【短】聖なる夜を、君と。
「え?」
私は、きょとんとした顔で聞き返した。
彼は、顔を真っ赤にしながら、右手を首の後ろに回した。
沈みゆく夕日と彼が重なって、すごく絵になった。
彼は、きっとモテる要素をたくさん持っていると思う。
こうして、ただ立っているだけでも、好きになってしまう女の子はいるだろう。
別に、彼が私の好きなタイプというわけではなかった。
白馬の王子様なんて、到底言えない。
ただ、『ずっと待ってたんだけど、いつの間にか寝ちゃったみたい』なんて言う彼が、なんだか一生懸命でほっとけなかった。
それだけ。
だから、つい『いいよ』なんて言っちゃったんだ。