【短】聖なる夜を、君と。
あの突然のクリスマスの約束から、数日たった、ある日の放課後。
彼に『話があるから教室で待ってて』と言われ、彼が部活を終えるのを待っていた。
誰もいない、夕暮れの教室。
「あんた、榊原乃愛?」
派手な髪。
派手な化粧。
とにかく派手な3人の女たちが、教室に入ってきた。
スリッパの色で、3年だと分かる。
助けてくれる人はいない。
別に、怖くなんかないけど。
「そうですけど、何か?」
私は、顔色一つ変えずに言った。
「奏多と付き合ってんの?」
ほらね、そうだと思った。
だから、ああいうタイプは好きじゃない。
「付き合ってたら、何ですか?」
女たちの顔が、みるみる強張る。
「は?何ですかじゃねーよ!とっとと別れろっつーの!」
意味が分からない。
むしろ笑える。
私、別に付き合ってないし。
誘ってきたの、向こうだし。