【短】聖なる夜を、君と。
きっと、彼がさっきまでいたであろう、体育館。
誰もいないその場所に、バスケットボールが悲しげに転がっていた。
「ごめんな。」
気付くと、彼の大きな腕に包まれていた。
私をぎゅっと抱きしめて、離さない。
力強く、優しい腕。
「クリスマス、どうしよっか?」
私を抱きしめながら、そう言った彼の服からは、甘い香水の匂いがした。
「話って、それ?」
私は顔を上げた。
とても優しい顔をした、彼の顔がそこにあった。
「うん。どうしても2人で話したくて」
私は、何でもいいよ、と言って、また彼の胸に顔を埋めた。