『春・夏・秋・冬~新たな道へ』
なぁ、冬。


お前も本当はあんな家族を作りたかったはずだよな。


死なせちまったのは俺の責任だ。


本当に、…すまない。


すでにタクシーが空港のすぐ近くを走っている事に気付いた俺は、俯いたまま自嘲気味に笑った。


俺が無理に志願した今回の現場は、生きて帰れるかわからない危険な所なんだ。


もちろん見守ってくれなんて言わないよ。


でももし俺が死んだら、笑って迎えに来てくれないか?


誰にも告げずに一人で行くからさ。


なぁ、頼むよ冬。


そう心の中で呟いた俺は、前方にそびえ立つ空港を見据え覚悟を決めた。


それは中途半端に生きて帰る覚悟ではなく、これからの厳しい戦いに命を投げ捨てて挑む覚悟だった。




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