季節外れの雪
おば「もしかしたら、思い出したのかもね」

真樹「え、思い出すって、何を?」

おば「彼女の事」

真樹「彼女?俊平君って、彼女いるの?」

おば「もう一年ぐらいになるかな。俊平君の彼女が事故にあって亡くなったの」

真樹「え、・・・」

おば「それからかな、俊平君が人をあまり寄せ付けなくなったの」

真樹「そうなんだ」

○土手(夜)

春に近いが、夜はまだ寒い。

真樹が両手で缶コーヒーを持ちながら、歩いている。

真樹、土手の下にいる俊平を見つける。

真樹「俊平君?(大声で)俊平君!」

俊平、真樹に気付く。

真樹、俊平に駆け寄るが、勢いあまって体勢を崩す。

俊平、手を差し出して助ける。

真樹、俊平の手を借り立ち上がる。

真樹「ありがとう。これで俊平君に助けてもらったの、二度目だね」

俊平「・・・」

真樹「ホントは優しいんだよね」
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