季節外れの雪
俊平、真樹の手を振りほどく。

真樹「ふふ、テレちゃって」

俊平、真樹のもとから立ち去ろうとする。

真樹「ちょっと待って。私、俊平君に謝らなくちゃいけない事あるんだ」

俊平、立ち止まる。

真樹「この間の事、謝りたくて。そんな暗い性格じゃ彼女出来ないって、言っちゃって。私、俊平君の彼女の事知らなくて。おばさんに聞いて、だから」

俊平「同情か」

真樹「えっ」

俊平「あんたも他の奴と同じだよ。あいつの事知ったとたん、態度変えて」

真樹「そんなんじゃないよ。同情だなんて」

俊平「じゃあ、何なんだよ。この間までは暗い性格って言ってた奴が、今はホントは優
しいんだねって。ふざけるなよ。聞いて呆れるよ」

真樹「ごめん。でも、信じてもらえないかもしれないけど、同情なんかじゃないよ。彼
女の事は何て言っていいか分からないけど、俊平君の事、優しいって思ったのは本当だから」

俊平「・・・」

真樹「俊平君、初めて会った時の事、覚えてる?あの時も今日みたいに助けてもらったよね。その時の俊平君の手、すっごく温かかった」

真樹、俊平の手を握る。

真樹「ほら、今も温かい。何か、温もりあって、こうして手を握ってると、心地良いんだよね」

俊平、無理やり、手を離す。
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