季節外れの雪
○ビルの屋上(昼)

屋上には何もないが、町を一望出来る。

俊平がいる。

そこに息を切らせた真樹が来る。

真樹「いたいた」

俊平、声の方を向く。

真樹「おばさんに聞いたんだ。最近、運動不足で運動しようと思って階段上って来たけど、辛いね。もう年かな」

俊平、立ち上がり、その場を立ち去ろうとする。

真樹「ちょっと、ちょっと待ちなさいよ。少しは何か言ったら」

俊平「何に用か?」

真樹「用がなかったら、わざわざこんな所まで来ないわよ。はい、これ」

真樹、俊平に紙袋を渡そうとする。

俊平、受け取らない。

真樹「Tシャツ。私のせいで汚しちゃったから。はい」

俊平、受け取らない。

真樹「もう、ホント性格悪いな。私にはおばさんが気に入る理由が分からないよ」

真樹、俊平の手を取り、強引に袋を持たせる。

真樹、俊平の手の温かさに一瞬、心を奪われる。

真樹「・・・」

俊平「・・・」
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