季節外れの雪
真樹、俊平の視線に気付き、慌てて手を離す。

真樹「ちゃんと渡したからね。じゃあ」

真樹、その場を立ち去ろうとするが、途中で立ち止まる。

真樹「どうせ、そんなTシャツ要らないって思ってるんでしょ。無理に着て欲しいとは
言わないけど、たまには人の好意に素直になった方がいいと思うよ」

俊平「・・・」

真樹「て、大きなお節介か。また文句言われる前に帰ろう」

真樹、立ち去ろうとする。

俊平「あんたには、ココから何が見える?」

真樹、立ち止まる。

真樹「えっ」

俊平「・・・」

真樹「うーん、そうだな」

真樹、フェンス際まで行き辺りを見渡す。

真樹「へぇー、高い所から見ると、こんな感じなんだ。普段はあまり意識しないけど。
あっ、見て見て。あそこに見える大きな建物が私が通ってた小学校。懐かしいな。という事は、あそこを曲がって、あの赤い屋根の家が私の家なんだ」

真樹、無邪気に俊平の方を振り返る。

俊平「・・・」

真樹「あ、ごめん。私、何一人ではしゃいでるんだろでるんだろ」

俊平「あんた、この町好きか?」

真樹「・・・。うん、好きだよ。何も無い町だけどね。でも、そこがいいんだよね。温もりを感じるって言うか」
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