窓のない窓際
 
コトが終わればもう用はない。


食べ終わった女とはさっさとサヨナラ。


俺は額の汗を軽く拭って、大きく息を吐いた。


「……瑞希……」


俺がズボンのベルトを締めていると、背中の方で小さく弱々しい声が聞こえた。


後ろのソファで横になりながら俺を見つめる瞳は、まだ夢の中にいるかのように潤んでいる。


顔を火照らせて、まだ荒く息切れしている女。


……最後にサービスしてやるか。


ソファで伸びている女に覆い被さって、その熱い頬にキスをする。


「楽しかったよ亜矢子。
……愛してる」

「瑞、希……」

「愛してるぜ、世界で1番」

「本当に……?」

「当たり前」


最後に優しく微笑んでみせる。


「じゃ、またな」


俺は自分の鞄だけ抱えて立ち上がる。


そしてさっさと部屋を出た。


悲しそうに眉を下げる女を1人残して。

 
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