窓のない窓際
 
え……?


耳を疑う。


言われたことが全く理解出来なかった。


水上は白く綺麗な指で、その大きな瞳を示したまま口を開く。


「見えないの、なんにも」


そして開き直ったように薄く笑う。


「お婆さんはもちろん……宮本くんのことも」


俺はただただ愕然とするしかなかった。


水上、何言ってんの?


外国語?


さっぱり理解出来ない。


「明るいか暗いか判別出来るくらいかな。
ぼんやり色を判別するのがやっと」


水上が笑った。


明るく……でも、涙を流しながら……。


 
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