窓のない窓際
これからどうするかなー♪
まずカラオケ行ってー、それから最近できたばっかりのクレープ屋行ってー、それからラブホに……いやいやいやいや冗談!
「宮本くん」
「うぁいッ!?」
驚いた俺から出た声は見事に裏返る。
「だだだだ大丈夫だ!
ラブホは行かねーから安心しろ!」
「え?
何の話?」
水上は不思議そうに首を傾げる。
「あの……そろそろ階段あると思うんだけど……」
と水上が言ってすぐに俺たちの目の前には階段が現れた。
俺たちの教室は4階にある。
だから帰るにはこの果てしない下り階段を地道に降りなきゃいけねえんだよな。
水上が俺を見上げる。
痛切に懇願するような表情。
この場で今すぐ押し倒したいと思った自分に自己嫌悪。
「お願いなんだけどね、ゆっくり降りてくれないかな?
あと、降りる時にかけ声かけて欲しいの……。
“いち、に”とか“はい、はい”とか……」
水上が申し訳なさそうにうつむく。
「面倒くさいこと言ってごめんなさい。
でも、そうしてもらわないと怖くて……」
水上が上目遣いに俺を見上げる。
「ダメ?」