窓のない窓際
ダメ。
んな可愛い顔するなんてダメ、反則。
「面倒くせーな……」
水上がしょんぼりうなだれる。
俺はカバンを肩にかけ直した。
そして、水上の華奢な体を抱き上げる。
「ひゃああああっ!?」
不意を打たれた水上は相当驚いたらしく、高い叫び声を上げた。
「みゃっ……みやっ……宮本くん!?」
「んな面倒くせーことするより、こっちの方が早いだろ」
俺は水上を抱き上げたまま階段をヒョイヒョイ降りた。
水上は思ってた以上に軽かった。
細いのに柔らかい体。
ふんわりと優しい匂いがする。
「お前体重何キロ?」
「え?
わ……分かんないけど……。
……あ!!!
もしかして重かった!?
いいよ下ろして!」
「いや、逆。
軽すぎ。
中身入ってんの?」
こんな華奢な体なのに、飯はめちゃくちゃ食うんだよなコイツ。
昨日の水上が美味しそうにカレーを頬張る姿を思い出してクスッと笑った。