窓のない窓際
 
このまま順調にいくと思った。


夢にまで見た水上との制服デート。


でも、俺はある重要な人物を忘れていた。


「宮本くん」


校門にさしかかったとき、水上が小さい声で俺を呼んだ。


「なに?」

「あのさ……校門の前に他校の制服着た男の子いない?」

「え?」


校門を通り過ぎようとした、その時だった。


「梨華?」


俺と水上は同時に声がした方に首を向ける。


水上の表情が見る見るうちに曇っていくのが分かった。


「……和樹(カズキ)?」


俺たちの目の前に立っていたのは、こないだ教室の窓から見た男。


水上の……彼氏……。


 
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