窓のない窓際
 
ヤツは申し訳なさそうに小さく笑った。


「俺と梨華はただの幼なじみだよ。
だから送り迎えしてたんだけど、まさかそんな勘違いされてたなんて……」

「な……」


今の今まで張り詰めていた緊張が一気にほぐれる。


「なあんだッ!
そうだったのかー!
なら最初っからそう言えよな和樹~ッ」


俺はバシバシ和樹の肩を叩く。


和樹は苦笑いを浮かべて、さりげなく俺の攻撃よけた。


「なるほどね!
幼なじみね!
なーんだそうだったのか、俺の勘違いだったのか、あはははは~」


めちゃくちゃテンションが上がる俺。


嬉しさのあまり周りが見えなくなっていた。


もちろん、隣で水上が悲しそうな表情を浮かべていたことなんて気付くわけもなかった……。


 
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