窓のない窓際
「瑞希ー!」
「おう!
グッモーニン!」
「グッモーニンじゃねーよバカ!」
学校は割と好き。
「今日は練習来れんだろうな!?」
俺は菓子パンの袋をバリッと破きながら、小さく悩むフリをした。
「ん~……今日も用事あるから無理」
「いい加減にしろよ!
毎日毎日用事用事女女って!
飽きないのかお前は!
この万年発情期!」
「あははー飽きるわけねーだろー!
嫉妬してんじゃねえよ」
パンを半分ちぎって、ブスッと膨れているバカに差し出す。
渡されたパンをくわえながら、そいつは俺の隣りの席に腰かけた。
「なあ瑞希……頼むから練習出てくれよ。
お前がいなきゃまとまんないっつーか、なんつーか……」
「何で。
俺の代わりなんて腐るほどいるだろ」
「いや、何言ってんだよ!
お前よりギター上手い奴なんて滅多にいないし!」
俺はパンの袋をグシャッと潰して、勢い良く席から立ち上がった。
「その話、もういいから」
学校は割と好き。
でも、部活は嫌い。