窓のない窓際
机の上で携帯が震えた。
俺は素早くそれを手に取ると、例のボタンを押して、見慣れたいつもの画面を開く。
“メール受信9件”
白い画面に無機質に映った文字は、大体いつも同じくらいの件数を示す。
無駄に力が入る親指で下キーを押す。
画面をスクロールさせて、送り主の名前に一通り目を通せば、次から次と流れてくる女の名前。
『きょぅの放課後だぃぢょぉぶだったあ?(´・ω・`)
約束忘れてなぃょネ?』
『今日ゃくそくの日だょね?
8時待ち合ゎせだょ?』
『夜1時に駅前でまってるネ☆』
相変わらず、女のメールは読みにくい。
何でわざわざ文字小さくすんだろ。
俺、こういうメール嫌い。
「分かってるよ(^∇^)」
3人に同じ返信をして携帯を閉じた。
たしか今日は3人と約束してたんだっけ?
……んー、今日も忙しくなりそ。