窓のない窓際
なんだよこいつ……。
自慢の笑顔が引きつる。
顔の筋肉がピキピキと音を立てているのが分かる。
「あ、でも今知り合ったわけだから、もう初対面じゃなくね?
だから覚えてよ、俺のこと!
仲良くしよーぜ」
「……」
できる限り優しく笑ってみせたけど、あっさりスルーされた。
こんなこと初めてで、思わず動揺する。
それにさっきから俺と目を合わせない。
ずっと俯いてる。
恥ずかしいのか?
「あの」
ずっと俯いているかと思ったら、突然そいつは顔を上げた。
「顔、ですか?」
「は?」
「私の顔を見て、仲良くしたいって言ってるんですか?」
凛とした声色。
真っ直ぐな目。
なんか、苦手かも。
「あー……まあ、なんつーか、そうかな……?
一目惚れっつーか……」
「なら結構です」
……え?
「私はあなたと仲良くしたくないです」